浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

怪獣ラジオ・仮面ライダークウガ15周年SP⑨(ゲスト:五代雄介役・オダギリジョーさん)

凄くドキドキして放送を待機していました。それはオダギリさん本人がどうこうではなく私自身が特撮ファンの反応を怖がっていることの表れだと思います。ふらりと現れたその人はいつも通りの正直な人でした。

ゴーゴーファイブ(1999年)オーディションで暴れた話から開幕(ノ∀`)それで翌年高寺Pがライダーの主役に凄い奴が来たと報告したら「こいつが⁉」と驚かれたwww伝説になってたんかいwww

えーとですね、まず「自分が好きなものを他人が愛しているのが当然なはずはない」から理解しときましょうか。個人的な感覚ですが70年代後半生まれ(ちなみにオダギリさんは1976年生まれで現在39歳)以降の世代だと必ずしも特撮ヒーローを通り抜けているとは限らないと思うんですよ。そのあたりの人の子供時代がちょうど特撮冬の時代ど真ん中で、しかも世に娯楽はいっぱいありまして。オダギリさんは子供の頃から映画館で育ってきたような人だしなあ。この辺に敏感になってしまうのは私が自分の「好き」を強制されてきた子供だった(前回放送分記事の後半部分参照)というのが大きいですね。

聴いてるうちにあまちゃん鈴鹿ひろ美さんのセリフ「向いてないけど続けるのも才能よ」を思い出したりもした。

1話でベルトをつけ、グムンを殴りながら変身する。この時点ではポーズも何もなく体が少しずつ変わっていくのを見ながら五代くんは「変わった⁉」と言う。本格的な変身は2話なんだけど中途半端はしない決意の感情をこめて叫びながら。そのシーンは「見得」とか「様式美」などとはまた別の印象を持つものであり。

よく日本のヒーローの変身ポーズや名乗りは歌舞伎の見得のようなものだと言われていて、それはひとつの様式美です。ただクウガって00年代の新ヒーローという野望があるわけだから昔と同じことをやったら結局時代を変えられないということなんじゃないかと。そういえばこの後はずっと平成ライダーの変身は「へんーしん」(長め)ではなく「変身!」(短め)なんですな。意図せずとも自分色に変えてしまったことになる。

好きじゃないのに決まったことで後悔しながらもやってきて、だけど演技そのものは真摯に、譲れないところは主張したり、アフレコを倒れそうになるまでやったり、そのためにブースに椅子を用意するまでになったり、要はそれって「中途半端はしませんから」ですよね。その向き合い方はとても素敵なプロの姿勢だと思うのですが、「愛している」と言わなければ嫌っていることにされてしまうのでしょうか…?

当時あまり特撮雑誌は読んでいなかった私ですが、テレビブロスの特集記事だとかさんま御殿出演とかでオダギリさんの話しぶりを見かけることはありました。いや本当にこの放送と全く変わりなくてwww当然今まで見てきたヒーロー役者さん方のアプローチとは全く違うので「こりゃまた…すげえのが来た…」と驚愕した思い出。だけどこの日曜朝8時の枠とはもともとは宇宙刑事のゴールデン枠(金曜7時半)でした。それが時間帯移動に次ぐ移動で流れ着いたような経緯を見てきていて「今ここの枠は、特撮と言うジャンルは誰が見ているのか」ということをずっと心配していました。その中にひょいと現れた、明らかにジャンルの常識外にいるこの青年はもしかしたら人を呼んでくれるのでは、あの時間に何をやっているのか視聴者に気づかせてくれるのではという希望を賭けたんです。思えばまだ何者でもなかった若手俳優(当時23→24歳)にそんな願いを賭けること自体トチ狂ってるんですが、想定以上の結果を出してくれました。イケメンだのあんなのライダーじゃないだの言われるのはどうでもよくて、この時間に面白いものがあることを気づいてもらえたのが嬉しかった。ずっと上の世代の高い壁ばかり見えていて、その向こうにある青空が見えなかったから。それだけで十分どころかお釣りがくるレベルの働きをしてくれたと考えていたので、それ以上オダギリさんにクウガのためになにかしてもらいたいとは思いませんでした。※ただ、「この人特撮ファンには愛されないんじゃないか…」という確信と心配があり、そんな気持ちで以後のドラマを観ていたのが2、3年くらい。現在は「クウガと五代雄介が好き」な気持ちと「オダギリジョーが好き」という気持ちは心の中の別のフォルダに入ってる感じですね。

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常に正直に話すオダギリさんはそれがかえって誤解を呼ぶという不思議な現象がよく起こるんですが、聞き手が気心の知れた高寺Pで、温かくフォローをしてくれたことでリスナーの皆さんにもちゃんとその真摯な思いが伝わってるようで安心しました。私は過去のいろいろからどうしても特撮ファンの方を怖いと思ってしまうところがありますが、ちゃんと話を受け取ってくれる人も多くいて良かった。暗い雲の向こうには青い空が広がっていました。来週の放送も温かさと笑いと真摯な答えを期待しています。

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