浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

超電磁マシーン ボルテスV 1〜10話

Q:フィリピン実写版の映画公開に向けてオリジナルアニメ版の配信が東映特撮YouTubeで始まったけどなぜアニメの配信を東映アニメーションミュージアムチャンネルじゃなくて特撮チャンネルでやるの?

A:本作は東映動画(当時)ではなく東映本社が作った作品で*1わかりやすく言うと八手三郎案件だから。わかりやすいか?

司令官プリンス・ハイネル率いるボアザン星人の船団が地球へ攻め込んできた。地球より優れた科学力を持つ敵の前に防衛軍はなす術もなく蹂躙されるばかり。しかしそこに現れたのが巨大ロボットボルテスV。現在行方不明になっている剛健太郎博士と妻の光代博士が造り上げた超兵器で、搭乗するのは夫妻の息子健一・大次郎・日吉の3兄弟と防衛長官の娘でくノ一の岡めぐみ、世界ロデオチャンピオンで防衛軍に拉致…スカウトされた峰一平の5人。特に一平の紹介がおかしい気がするのは流してほしい。今ここに地球の存亡を巡る戦いが始まった。

70年代のアニメや特撮は子供の頃観たことあるのも多くて、そういうのは何もわからない子供だからこそそのまま飲み込んで特に引っかかることもなく観たのだろうと思われます。…というのも私はボルテスVって今回の配信が初見なんだけど倫理観にかなり引っかかるところが多くて…うん…。

何しろ1話のボアザン星船団の攻撃に防衛軍や警察が迎え撃とうというシーンのところで「迎え撃て!逃げる署員は射殺しろ!」などと物騒なことを地球人側が言い出しててめちゃくちゃびっくりする。ボアザン星人側が捕らえた人間を奴隷にしてムチを打ったり、失敗が続く部下を牢屋に閉じ込めたり、そういう非道な振る舞いをするのは悪者だからわかるんだけど地球人側もまあまあおかしくないか???それはボルテスV搭乗メンバーもそうで、

f:id:asanem800:20240901134413j:image私としては「いや8歳児を戦闘要員にする方が狂ってるだろ」と思うんですがそれは。とはいえ、昔のアニメや特撮で大人の作戦行動に普通に子供が加わってるのはよくあることではあったな。おそらく末っ子日吉は燕の甚平(科学忍者隊ガッチャマン)の系譜なのだろうとは思う。でもまあ…リアリティ的にはかなり無茶ですわ…。*2

先に戸惑いばかり書いてしまったけど、全体的に「死が近い」感じはかなり緊迫感があり、そこは面白く観てます。プリンス・ハイネルの悲しきバックボーンも描かれており、そうそう勧善懲悪ってわけでもないのかもしれない。よく「ガンダム以前のロボットアニメは単純明快でー」みたいなこと言う人はいるけど、本当はそんな簡単ではないよなー、高評価・低評価様々な作品群が段階的に路線を変えていったのではないかなあ。

 


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フィリピン版については「愛がある」というふんわりした表現で評価されてる様子だけど、このインタビューを観る感じでは「1977年のアニメを2020年代に実写化するにあたって変えるべきところと変えてはいけないところの見極めがかなり上手い」という印象で愛というよりはセンスなんじゃないかなー。とはいえそういう見極めって原作アニメを相当に読み込んでないとできないことではあるな。

*1:なおアニメーション制作は日本サンライズ

*2:こういうのオタクはよく「子供はホシノくん(初代ウルトラマン)みたいな子供レギュラーが嫌い!だって俺がそうだったから!」って言うけど少年仮面ライダー隊は割と長続きしてたはずだからそう簡単なものでもないと思うんだよなー。