NHK BSの放送を視聴。
当方幼い頃に84、確かテレビ放送でビオランテを観た記憶はあるけど内容はぼんやりとしか覚えてなくて、他に観たのはシンゴジと-1.0であります。あっテレビでKOMを観てたけどよくわからなかったということはあった。たぶんドハティ監督の価値観がわからなかったのだと思う。怪獣といえばウルトラシリーズの方がわかるって程度なのでゴジラに詳しい方々にとって面白みのある感想ではないかもです。
想定以上に「静か」な映画だったという印象を持ちました。次々と行方をくらます漁船、襲撃される村、しかして襲った「何者か」はなかなか姿を現さない。後の作品では“様式美”とされるこれらのシーンの源流と呼ぶべきものはBGMで過剰に盛り上げるというわけでもなく、白黒映画なので派手さは抑えめな感じ。しかし白黒な画面のせいか観ていて非常に「怖い」のです。暗闇とそう大差なく見えるからってのはあるかもしれない。これ当時の映画館だとめちゃくちゃ怖かったんだろうか?
破壊される街、踏み潰される人々、軍隊に誘導され避難する生存者───ここで描かれているのは「戦争のようなもの」ですよね。しかしてこのゴジラが現れた原因は水爆実験なのでメタファーでも何でもなく「戦争による産物」だ。1954年(昭和29年)、戦後9年。人々の記憶にはまだ生々しい戦争をリフレインさせている。それを止める唯一の手段オキシジェン・デストロイヤーはもし兵器に使われたらまた同じことの繰り返しになってしまうだけ。*1それをわかっていた科学者芹沢は友に、愛する女性に、恩師に別れを告げ一人深海へ向かって行く。
戦争の産物としてのゴジラは-1.0もそうだったけどあっちは自分たちで戦争を終わらせる固い決意があったので作戦行動はものすごい勇壮だったけど、こっちは悲壮感がとても強くて、それは戦争を直には知らない世代の作品と知っている世代の作品の違いなのかもしれないと思うし、今の私たちが“今のところは”戦争を直には知らないでいられてるのは幸せなことだと思うのであります。できることならこれからも知らないままでありたいけどその考えはあまちゃんすぎるだろうか。ところで大怪獣のあとしまつがめちゃくちゃ炎上した時「怪獣映画には人間ドラマなんかいらねえんだよ!」と言ってた人たちはゴジラでラブロマンスも科学者の孤独と苦悩も描かれていたのをどうお思いで???
そして悪魔の兵器オキシジェン・デストロイヤーがぬいぐるみになります!バカ!!!!!