浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

ナショナルキッド 四部 謎の宇宙少年

最終章!三部の地底王国が滅んでないままな異色のスタートであります!

一〜五回まで

裏切り者黒岩博士とヘルンシュタイン総統の仲は決裂したかに思われていたが実は繋がっていたのです!えぇー!そんな地底人は地球に不時着した記憶喪失の宇宙少年大空太郎(仮名)を狙っている。

f:id:asanem800:20221202192052j:imageそして「この世界ストレイジがなくてよかったよな」と安堵する私である。太郎の正体が地球が危険な星なのか確かめに来た遊星マゼランからの使者だとわかりその思いはますます強くなりましたよ。

地底人は東西の二大強国の元首を洗脳して戦争を引き起こさせ、“互いに殺し合い宇宙にも侵略の手を伸ばそうとする野蛮な星”として地球をマゼラン遊星に攻撃させようとしていた。…宇宙侵略はともかくとしてよく戦争をやってることは本当なので嘘でも説得力が出てしまう…。太郎も一時は地球を信じられなくなるものの少年探偵グループとの友情や旗竜作など大人たちの奮闘とナショナルキッドの活躍により思い直し、地球で教えてもらった歌を歌いながら母星を説得に向かう。

埴生の宿

埴生の宿

放送は1960年、戦後15年です。制作陣はそれぞれ何らかの形で戦争を体験したことになります。そういう立場の人たちが送り出す戦争反対とは説得力を通り越して叫びなのかなと戦争を知らない世代の私は思います。そして平和に導くのが次代を担う子供たち。少年探偵グループは全員戦災孤児なので先の大戦の落とし子たちが未来へ繋いでいく構図に涙が出てしまうのは現代のリアルが悲しき未来に繋がりそうだからというのはありますね。戦争が悪い奴の策略で起こるのならそいつを何とかすればいいだけだから簡単なのにな…。

 

六〜九回

とまあ、現代においてまさかのタイムリーになったりしながら地底王国も滅亡しいい最終回感が出たのにまだ続きますし母星へ帰っていった大空太郎も戻ってきます!何か後番組の準備が遅れたためらしいです!何そのライブ感!?東映特撮かよ!東映特撮だったわ!

そんな感じでやってきた敵はザロック人と怪獣ギャプラ。地球よりはるかに進んだ科学力を持ってるそうです。でも地球環境に適応できず脳みそみたいな形になってしまったギャプラを暴れさせるために地球の宇宙動物学者に協力させようとします。…変に武力があるアホなのでは…。攻防戦の末巨大化したギャプラ(ビルと比較するとかなり大きくて70〜100メートルくらいないですか?)に大苦戦する地球人だったがナショナルキッドと協力して無事に平和を取り戻す。そしてナショナルキッドの正体を明かした旗竜作は故郷アンドロメダに帰っていくのであった。

 

まとめ、そして東映特撮に未来はあるか

全39話観て、当然ながら現代の作品とは何もかもが違っていてかえって新鮮な気持ちではあったし、一方で途中様々な変更が起こってそれに対処していく様がなかなか凸凹してるのは「この時代から東映特撮は安定の東映特撮なんだな…」と遠い目になったり、それでいて特撮シーンは今観てもかなりの目を見張るものだったり*1、総じてとても不思議な気持ちで観ましたが、結構面白かったです。

この時代だとややもっさりして見えるアクションって時代が進むごとに派手になっていくよなあと考えたらスーツアクターを高さ52メートルの煙突に登らせた」とか「爆破で島の地形を変えた」といった“武勇伝”を思い出してああ…うん…と白目になったりして、あと無茶な変更をむりやり何とかしていった果てにあるのが今告発されてる労働問題なのかな…と思うと悲しみがある。もちろん当時の制作環境は今よりも酷かったのだろうとは思うんだけど、「特殊な環境だから仕方ない」で流してきたことが今になっても響いてしまってるのではと。

ちょっと今の私は東映特撮に対して優しい目では見られなくなってるみたいですね。新しい戦隊に労働問題の件でほぼ名指しで告発されたPが入るのを知って「ああ、この会社はナメてるんだ。このまま問題に対して何も反省も対策もせず黙殺でやり過ごすつもりなんだ」としか思えなくなっている。ちょっとこれは東映に何かを期待するよりも自分が好きな作品や会社で同じことが起こった時に同じように思えるかを考えてみた方がいいのだろうな。

*1:やっぱり水を使ったシーンがすごい豪勢なんよ。