浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

ある船頭の話(10月18日 広島・サロンシネマ1で鑑賞)

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片道3時間高速バスに乗りました。シネコン“しか”ない地域の者としては相変わらずサロンシネマのオサレ内装には怯んでしまう(ノ∀`)

えー、この映画は私の立ち位置的にどうしても贔屓目が入ってしまうのでちゃんとした評価をできてるのかは自分でもわかりません。あくまでファンが観た感想という前提で読んでくださいね。

 

今より少し前の日本。岸と村を隔てる川を渡る唯一の手段がトイチが動かす船。しかし橋が建てられることになり、そうなると誰も船の渡りを必要としなくなる。トイチは“いらなくなる”。そんな彼をある者は心配し、ある者はバカにするが、トイチは村のみんなは橋を楽しみにしてるんだからと、先のことはその時に考えると穏やかに笑う…だが、その心の内は。

そんな時に川に流れ着いた少女。折しも川上の村で一家惨殺事件が起こり、そこの娘がさらわれたという噂があった。自らのことをほとんど話さない少女の正体ははたして行方不明の娘なのか、それとも、事件を起こしたのは。

事前に主要人物3人と船に乗る客のキャストは発表されていたが、実は唯一未発表だった登場人?物がいたことは映画を観ないとわからない。

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それが何者かについてはここでもはっきりとは書きませんよ!この絵でもだいぶギリギリな表現だよ!表現しきれてるかどうかはともかくな!_| ̄|○

どっちが便利かといったらそりゃあ船よりも橋です。労力も時間も。時代が進む上で便利さを追求し効率化していくのは当然のこと。ただ、その陰には切り捨てられていくものがある。不便ながらも穏やかにやってきた暮らし、捨てられたという思いから生まれるドロドロとした闇、人の世のままならなさを自然は優しくもなく厳しくもなく、ただ常にそこに留まり続ける。この自然物の映像が美しいんですよ。この映画のMVPは阿賀川の自然と呼んでもいいくらいで。流れる水、ゆらめく草木、夏の雲、冬の雪。

この映画は説明を極力省略しているのでいろいろわからないところも多いのですが(特に少女の正体について)その辺は観てる方で自由に考えていいのだと思われます。パンフにもその辺の解説はまるでなかったので。これもまた一つの“効率の悪さ”。とっつきにくいことは確かなんだけど、噛めば噛むほど味わい深い(ただし噛み切る気力があるならな!)という趣きです。まあその…村上虹郎くんのファン層は若い女性が多いだろうしあの役はどうだったんだろうかと心配しているけど聞くのは怖いと思っております…。

帰ってきた時効警察DVD-BOX

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今のところこの映画のAmazonで貼れるものがなく、今入手しやすいオダギリ監督作品っていったらやっぱりこれの8話ですよなあ。

あと大画面と良いサウンドで観てほしいというオダギリ監督の心情はたいへん理解できるのですが、今の公開範囲ではシネコン‟しか”ない我が地域のような場所から死にます。映画における大自然に匹敵するかどうかは\おいといて/あの手の自然物はまだ残ってる地域ですのでどうかそういう場所にも加護を。