浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

僕の手を売ります 丸10「人生の遍路道」

引き続き愛媛でのしいたけ売りを手伝わされる大桑北郎である。

 

大桑北郎はとても不器用だ。周りからいろいろ余計なことを押し付けられてやらなくてもいい仕事を困り顔で引き受ける。逃げたいと思うこともなくはないみたいなのだがそれでもやり遂げてしまう。そんな彼はこの先どうなるのか、それは佐伯治そのものであるのかもしれない。

よけいな罪を背負い、娘を守るために防空壕を作って中におもちゃの武器を溜め込み食糧にはしいたけを推す、その何もかもが空回りでついに無理がたたって死んでしまい、当の娘からは「何がしたかったんだろう」と言われてしまう佐伯の姿が北郎のあり得る未来というのはとても悲しいものがある。そういえばみちるとの再会も「あり得たルート」の可能性を示唆してるんだろうか。家族を捨てて新しい未来へ逃げるという感じの。でも良くも悪くも不器用な北郎は結局妻と娘のもとへ帰っていく。

借金はなし崩しに完済、ついでに貯金まで貰ってしまったけどきっと北郎の人生はそんなには変わらない。これからもいろんなアルバイトをしながら余計なことに巻き込まれていくのだろう。でも家族はそんな彼に呆れているわけでもなくただありのままを見守っている。それは今の世では救いなのかもしれないですね。夢が叶ったわけでもなく、上手くいってる人生でもない、でもちゃんと生きている。まあ体には気をつけてほしい。

“未来の可能性”を佐伯という形で見せられたので悲しい気持ちにもなってしまうのだけど、それはそれとして巻き込まれてわたわたする北郎はかわいかったですね。FODドラマはどうも地上波(関東ローカル)やBSフジで放送することもあるようなのでそういう機会があったら観てほしいなあ。このドラマは配信より深夜でやってるのをフラッと観る感じが合ってると思うので。*1

*1:関東ローカルでの放送はされましたが3月24日からBSフジで放送されるそうよ!