浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

島根マルチバース伝

門脇ひかりはかつて高校演劇で神童と呼ばれ、アカデミー主演女優賞を夢見ていたが結局東京に出ることもなく28歳の今では地元島根県松江市のスーパーマーケットで働きながら燻って生きている。「今の私がこんなしょうもないのは島根におるからだがね…!」とぼやく彼女の前に怪しげな男が現れて並行世界を見せると言い出した。

まず、えっNHKの地方局制作ドラマにまで採用されるほどマルチバース概念って世の中に浸透してんの?というびっくりがあるけど、ひかりが見た各バースはどれもこれもしょっぱいのばかり。そして何回トライしても忌まわしき島根から出られない!なお島根が首都になる世界もあります!

お話としてはどのバースでもひかりの望む良い世界は見られず、今の現実世界できっかけを掴むことで少し気持ちが上向きになる「置かれた場所で咲きなさい」系。こういう地方ロケをやる話って地元民から見ると見栄え優先のために主人公とんでもない距離をワープしてんな!と思うことがある*1けどこのドラマは割と無理のない移動をしていました。徒歩で行ける距離と車じゃないと無理な距離の区別がちゃんとしてたので違和感なく飲み込めた感じ。というか島根が舞台のドラマで国宝松江城出雲大社も映さないってすごい判断してんな???

島根のほんのりとさびれた感じ、そりゃ地元民でも心からは愛せない人もいるやろという説得力がありました。それでも過去に囚われて腐っていくより現実でしっかり立って生きていかねばね…(それはなかなか難しいな)3月22日にはNHK BSでも放送されますよ。

*1:かつて観た人造人間キカイダーの山陰ロケ回は出雲大社鳥取砂丘の距離感がいくら何でも近すぎると思ったものです。