あまねは感覚過敏を抱えている。味覚過敏ゆえに食べられない物が多い。聴覚過敏ゆえに他人には何てことない生活音が耳を通して脳に突き刺さる。視覚過敏ゆえに陽光が目に痛い。そして彼女が感じ取ってしまう「嫌」は周りからは理解されにくい。常に生きづらさを抱えながらも何とか高校に進学したがそこは部活動を強制される場所だった。あまねは「何もしないでいい」ができるケケケ同好会の設立に動いたのだが…。
当方は感覚過敏ではないのであまねの辛さをもちろん完璧には理解できないけど、例えば「頑張ることを強要されたくない」とか「周りの声がうるさく感じる」とか「やる気がないわけではないがどうも周りからは無気力に見られていて叱責されることがある」とかの生きづらさを感じることはあって、この同好会いいなあ、というか私も学生時代にそういう気持ちを肯定されたかったなあという思いを持ちました。子供の頃から「頑張れば何でもできる」と言われてきたけど冷静に考えるとそうでもなかったよな?というかそこにもっと早く気づいていたらもう少し今の生きづらさを何とかできる方法も見つけられたのではないか?ということを思ったり。
全体的に静かなシーンが続き劇伴も柔らかい印象で、それゆえにあまねが「嫌」と感じる音や光が感覚過敏じゃなくても不快で、なるほどあまねは日々こういう辛さがあるのかーと擬似的に理解するなど。しかし私ら視聴者がそう感じるのはせいぜいドラマの45分間だけどあまねは、というか感覚過敏の人はこれが一生続くのか…それは辛すぎる…。例えば目の悪い人が眼鏡をかけるように、それぞれの辛さを抱えた人が少しでも良き方向に過ごしていける方法があるとみんなが生きやすいわけだけど…難しいのだろうな(最近起こった車椅子ユーザーの映画館利用にまつわる件を思い出しながら)でも自分の思う「普通」が誰にとっても「普通」だとは限らない、それを知ることからなのだろうな。