浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

酔うと化け物になる父がつらい

去年公開されたものの一番近い映画館が広島県だったのでコロナ禍の中越境不可能だった島根県民がやっと酔う化けを観ましたよ。

酔うと化け物になる父がつらい[DVD]

酔うと化け物になる父がつらい[DVD]

  • 発売日: 2020/12/02
  • メディア: DVD
 

 

 

 

asanem800.hatenablog.com

 

なお私の推し俳優オダギリジョーさんはカメオ出演のためここ↑に上げた出番で全部です。そもそもodagiriカテゴリーをつけていいのだろうか!

いつも酔っ払っては暴れて家族に迷惑をかけてきた父。母はそんな生活に限界が来て自殺。遺された娘は自分の本心を内に閉じ込めていく…という悲惨な状況がユーモラスなタッチで描かれていくけどごまかせない、全然ごまかせないよ⁉︎

観ていてずっと大人の身勝手のせいで子供が追い詰められていく様子が辛すぎるというか、登場人物全員に悪意はなくて皆何らかに抑圧されてより弱い者を傷つけていくのがヘビーでした。「男の付き合いではお酒がなければ」「あんたがしっかりしなきゃ」それらは全て善意で、社会では常識とされていることでも傷ついている者には逃げ出せない鎖になる。

ただ娘の進路の話よりもクイズ番組を熱心になったり、酔って首を絞めたりする父親でも愛情や後悔がないわけではない、むしろそれがない方がちゃんと憎めるというのが家族のやっかいなところで、それ故に自分は父に酷い仕打ちをしたのではないかと苦しむ娘も悲しいところであり。

(ただちょっと美術方面が甘いというか、父がずっと大事に持っていた「ある物」、20数年経過してる状態にしては新品すぎるなあって思っちゃったんですよね。クレヨンも描いたばかりの色味に見えるし)

f:id:asanem800:20210121210132j:plain
家族だから助け合う、でも家族だから苦しい、そんな情と呪いが紙一重の重い映画でした。