浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

TAROの塔

※今回の再放送が初見です。何かタローマンだけで岡本太郎を解った気になるのはまずいなって気がして島根在住で展覧会に行くのは無理だけどご本人のことを少しは知っておいた方がいいのではと思って…。

芸術熱とでも言うべきものに取り憑かれた女・かの子。絵描きを志し家族を養うために風刺漫画家となった一平。その二人の間に生まれた息子太郎は特に母の激情に強く当てられ、その心に芸術の炎を宿す。しかし彼の生み出す芸術はなかなか世の理解を得られず、常に孤独の中で生きていくことを余儀なくされる。やがてその両親も世を去り常に彼の側にいたのは秘書であり養女でありそして“岡本太郎の言葉”を世に伝えるシャーマン・敏子だった。

「これは岡本太郎の物語であり、他の者には絶対に真似のできないことである」という大前提がないとかなりのヘビーだと思う。愛情はあるけど“普通の家族愛”ではないので太郎じゃなければどこかで精神が壊れても不思議じゃなく、というより岡本太郎としての生き方しか許されなかった男」の一生でもあると思う。

全4話通して観て思ったのは、太郎の心に芸術の炎を植え付けた女はかの子だとして、敏子は太郎自身にも理解できない「芸術家岡本太郎」としての姿を彼に教え続けて心の炎を大きくしてきた女なのではないかなと。太郎もべらぼうだけどそんな彼を導いた女たちもべらぼうなのですよ。

ここ最近タローマンの影響力がかなりえらいことになってて、アレが本当に放送されてたと信じてしまう人も出てることってヤバいのでは、これって現在進行形で偽史が作られてるじゃないと思ってもいたんだけど、こうしてご本人のべらぼうさを少しだけでも知ると「こうして存在しない記憶を植え付けられる人々が続出することも岡本太郎的な芸術としてアリなのではないか…?」という気にもなってきますね。いいのかそれで。