浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

アンチヒーロー9・10話(最終回)

志水の無実を証明できる動画は握り潰され、それでも他の根拠がないか探し続けていたら白木の裏切りにより明墨まさかの逮捕!…いやそんなにまさかでもないな!

  • しかしこれは法廷に伊達原を誘き出す作戦だったんだよ!←予想の範囲内
  • なお白木も裏切ってないよ!←それもそんな気はしてた

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…8話のハードディスク破壊にドン引きしてたの裏切りの布石かと思ったら決定的な証拠を潰されたことに気づいて絶望してたとは思わなんだよ…。でも7話における瀬古判事の過ちの「女の身で上に上がろうとしているうちに自分を踏みつけた男たちと同じことをしてしまっていた」について「じゃあ女がガラスの天井を破るにはどうすればよかったんだ…」としょんぼりしていたので緑川が信念を曲げずに正義を貫いたのは救いになっててよかった。

ほぼ毎回ある鮮やかなどんでん返しが鮮やかすぎて少々鼻につくくらいだったのはさておき(ぇ)、人が決める正しさに本当の正義はあるのか、犯した罪に対する罰は本当にその重さに見合っているのか、それはどこまで行っても正解がないことなので苦味が漂う。ただ桃瀬の意志を継いだ明墨の“正義に基づいた悪行”で横領犯ではあるが殺しはしていない人物が殺しの罪で裁かれることを防いだのは事実であり救いだった。これで思うのはやはり現実にある、あまりに長く審議が続きもはや何が真実なのかわからなくなっている数々の裁判のことで、「もしもこの被告が本当にやっていないとしたら?」とはどうしても考えることだから。やっていない人物を裁き、本当にやった者は野放しなんてあまりにも恐ろしい。

そういえば糸井一家殺人事件の真犯人は結局わからないまま終わったけどこのスッキリしなさはこのドラマ独特の持ち味ではありますね。なおネットの一部では「検出されたのがタリウムではなくボツリヌス菌ということは死因は食中毒でそもそも殺人事件ではなかったのでは?」説を見ていて、なるほど納得はあると思いながらも12年も経っている状況でそれを立証できるものなのか…まあ明墨の立板に水を流すような弁明で何とかなるかな…。

まあ、正義も悪も表裏一体なところは好きではあるけど、なら伊達原をあんなに悪役演出せんでもよかったじゃろがいとは思ってる。途中からほぼ時代劇の悪代官でしたよ?でも明墨や視聴者には悪役の面ばかり見せていたけど本当は娘の幸せを願う1人の父親にすぎないというのは多面的であり、これもまたひとつのどんでん返しではあるかなあ。

そして勾留されたままの明墨(なぜなら緋山関連の証拠隠蔽はただの事実なので)と“アンチヒーロー”として彼を無罪にすると誓う赤峰の対峙でこの物語は終わる。最初あれだけ明墨のやり方を否定していた彼が同じ道を歩むことにするというのは普通はバッドエンドなんだけど「成長したじゃないかー赤峰くぅーん」となるのはこのドラマの積み重ねの妙というものだ。一応志水の再審の行方は不透明なままなので続編もやれなくはないのだけどこのラストを観たら「ここで終わるのも綺麗かもな…」とも思う。

何か日曜劇場を珍しく素直に楽しめたかもしれない。*1ほぼ全編に渡ってハセヒロ劇場だったのはともかくとして。やっぱりハセヒロさんのまくしたてるような演説は画面が保つよな。

*1:すまない、アトムの童はオダギリ社長のカッコよさで乗り切ったものの途中のいろいろ無茶な展開で困ってしまったんだ。