浅羽ネムの長いひとりごと

誰かの言葉に乗っかるのではなく自分の言葉を紡ぎたい。

ウルトラマンネクサス&ULTRAMAN 早すぎたのかもしれない革新のプロジェクト

Amazonプライムビデオのネクサス配信完走しました。あとどうにか市内のレンタルショップで見つかったのでULTRAMANも観ました。今公式のウルトラチャンネルでネクサスYouTube配信をやってるので初見の人はここからブラウザバックしましょう。

ULTRAMAN [DVD]

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同一世界観ということなんでリレーみたいな感じの感想を書いていきますね。

第1のデュナミスト:真木舜一

34歳妻子持ち!おそらく地球人の変身者としては最年長ですね?映画ULTRAMANの主人公。元空自のパイロットで空を愛する男が偶然にも光の力を手にしてしまった。こう、このウルトラマンってみんなのヒーローっていうより、怪獣と紙一重のクリーチャーって感じですね?というか何かシワが全体的に寄ってるのってもしかして“Aタイプ”ってことかな。ネクサスが“B”でノアが“C”ってところかな。 

ネクサスがあんな感じなのでこの映画も複雑な人間関係があるのかと事前に怯んではいたけど、こっちは案外シンプルだった。現実の世界に突如現れたモンスターに対する人間の反応をヒーロー作品ではなく邦画SFの文脈で描いてる感じ。系統としてはクウガとかシン・ゴジラに通じる方向。前半家族愛とか怪物ザ・ワンになってしまった男とその恋人の間にある葛藤とか、ぶっちゃけた話子供にとっては楽しくないシーンがずっと続くけど、その分クライマックスの爽快感は大きい。そのまま爽やかにエンディングに続く…わけだが。

 

第2のデュナミスト:姫矢准

ここからは5年後、ネクサスの時系列となります。なお姫矢さん変身者だけど主人公じゃない。

ネクサスは前半「楽しくない」どころか「陰惨」「暗い」「怖い」「人間関係つらい」の連続で良く言えば攻めた内容、悪く言えば放送時間に合ってなさすぎた。この内容が当時の視聴者に受け入れられてたのかについては資料を見ずともメタルダーより話数が少ない時点で察する。

ただこの異様に厳しい展開の中で起こるわずかな成長が苦しみの中でのカタルシスではあった。だけど姫矢さんは過去の後悔を背負った戦いで傷つきすぎて限界になってしまった。そして光は彼からまた別の人へ。

 

第3のデュナミスト:千樹憐

26話から新たな変身者に。彼も主人公ではない。

というか明るく人懐っこい彼を描写するため必然的に作品の雰囲気も陽性になった(注:当社比)ので違う番組が始まったのかと思った(ノ∀`)…まあ遺伝子操作で生まれた余命僅かな美少年という盛りすぎな設定が明らかになり、やっぱり安定のネクサスじゃないかと思ったんですけどね!何であの光生き急ぐ人ばかり選ぶんですかね…オタク女性なのかな…って思ってたんですが、スペースビーストが人間の恐怖を感知して捕食するのが判明したことで「あっそういうある意味ぶっ壊れた人じゃないとそんなヤバいのと戦えませんね…」と思いましたぞ。つまりどんな酷い目にあっても諦めない、ウルトラマンはそんな人たちに与えられる最後の希望という意味ではこんな攻めた作風でも確かにこれはウルトラとして正しいですね。そしてウルトラマン自身も生き抜くことを諦めない。

 

第4のデュナミスト:西条凪

憐から離れた光が次に選んだ変身者でやはり主人公ではなく本作のメインヒロイン…いや彼女ヒロインと呼んでいいんですかね⁉︎

  • 幼い頃親を殺されたことからビーストを憎んでいる(つらい)
  • というわけで執拗にデュナミストを殺そうとする(こわい)
  • いやこれまでのシリーズでもウルトラマンを敵だと思う人はいたよ?でもだいたい初期のうちにわかってくれてたよ⁉︎まさか中盤になっても同じ調子だと思わなかったよ⁉︎
  • その強さにより光に選ばれたと思われるがいかんせん憎しみで強くなってるので変身してすぐ闇にのまれてしまっ…
  • ネクサスさん人選ミスでは???

まあ憐編になったら多少軟化してはいたし一応最後まで主人公の近くにいた女性って彼女だけだし…いやでもヒロインと呼ぶにはいろいろ斜め上すぎるっていうか。

 

第5のデュナミスト:孤門一輝

やっと主人公のことが書けた!凪とのウルトラタッチ(2005年版)を経て光を継いだアンカー。おゝとりゲンに続くくらいの不幸すぎる主人公。電波少年的な)拉致される形で極秘の特務組織に入り、何の仕事をしてるのか身内にも言えない、職務は人間を食べる化け物の殲滅、職場の人間関係はやたらギスギスしてるし副隊長が怖い。こんな所常人なら3日で病むわ。ブラック特務組織に入隊したが僕はもう限界かもしれない。その上変な闇の人に恋人を殺されて操り人形にされてって悲惨すぎるけど戦いの中で徐々に強くなり、最後には諦めない心でウルトラマンになった。成長する主人公の中でもかなり壮絶な人生を歩んでいる。ところで思った以上に爽やかに締めたところでこんなこと言うのも何だけど、ULTRAMANの爽やかなエンディングを考えると、「あそこにいた人たちひとり残らず記憶消去されてた」って考えたら怖くね???

 

早すぎた、のかもしれない

そこまでの夜が暗いからこそ夜明けの光は眩しく暖かく輝く。まあその、特に第1部の暗さ救いのなさは完走した今でも「何でこれドアサ地上波でやったの?」と思っている。最後まで耐えられない人が続出しちゃったよな絶対…。今だと例えばアマプラとかネトフリでの配信限定だったらコアな人気を取れたのではないかって気がしてる。でも当時(2004〜2005年)だと地上波以外の場所だったらBS、もう少し広げてもCSくらいかな。場所の方がまだそこまで開拓しきれてない。特撮板グリッドマンとは別方向で「早すぎた」ってことなのかな。

 

革新と安定と

どっちか一つだけを“正しい”としてしまうのは危険だと思う。斬新すぎるとそれまで支えてくれたお客さんを切り捨てることになりかねない。かと言って今までと同じやり方をずっと続けていたら時代の流れに乗り遅れてしまう。これは並行してタロウを観てるから思うけど、タロウは明るく楽しく(そして時々エグく)観られるけど、細かい社会常識の部分に「これ今このままやったら問題になるな…」ってところも見受けられる。

そして子供番組の宿命として、お客さんがずっとそのまま居着いてくれるとは限らない。このジャンルは常に初見の人の存在を意識する必要があるわけで、そうなると王道も変革もどっちも大事という姿勢が重要なんでないかなー。もちろん商売なので採算が取れるのが何よりも大切ですぞ。

 

別宇宙のデュナミスト:橘さゆり

youtu.be

一昨年客演作品についてはほぼ何もわからないままXを観ていて、今ネクサスを観たことであれがなかなか粋なレジェンド登場だったことを知るというね。孤門、君あれから新しい家族を作って幸せな日々を送ってたんやなウッウッ(厳密にはあれ孤門違うんでは)スペースビーストだったらさすがのXioでも即射殺決定だったの実物を見ると「せやろな…これは殲滅しかねえ…」と納得だったり、この回で橘副隊長がネクサスになっちゃったのも「あーそういう、あー」というな。というかですねえ、私はこの1年間いろいろしんどいことを見てしまってたので「何が何でもオリキャス出さなきゃみたいな風潮は行き詰まりが起こるんじゃないか」という思考になってしまっており、ネクサスの変身者が1人に限定されないシステムってシリーズを続ける上で❝便利❞だなと思ったりしてました。んーまあこれはいつかメビウスを観た時に同じことを言えるのかまだわからんな。

 

初見の方々は気をしっかり持って

www.youtube.com

YouTube公式配信は週一だけど、ネクサスって正直週一の視聴には向いてないと思うんですよね。全話イッキ見の方が向いてると思う。(テレビ番組としてあり得ない発言)ウルトラチャンネルにはタイガもガイアもザ★ウルトラマンもあるので他のウルトラマンを適度に摂取しながらこの鬱展開に備えた方がいいのかも。まあ配信ガイアあと1回で終了なんですが。

 

溝呂木眞也は闇の絆を繋ぎたかったようです。

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漫画原稿サイズ(1〜4枚目)とTwitterサイズ(5、6枚目)では同じペンでも太さがかなり違って見えることを知りました。